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さて、すれ違ったと言った通り、実際には会話をしたこともないような間柄だ。
言うなら、彼女はマンガの主人公で僕は脇役。
戦闘系の物語なら、彼女が爆弾をギリギリ避けたときに腕だけになる、顔も出ないくらいの通行人A。
それくらい、接点も無けりゃ話し掛ける機会も無い。
いやしかし、見かけたことは数知れず、だ。
月数回程度の活動しかしていない俺のバンドは決まって、昼頃から練習やらチューニングやらをして休憩を挟んで夜2回のライブ公演をする。
その後、反省会やらファンとの交流やらを含めた飲み会。
この飲み会が凄い。
ファンとの交流というと、コンパかよ、と茶々を入れられるのだが、来てみたらわかるってくらいに健全だ。
バンドメンバーは3人なのに対して、ファンの人数が半端じゃない。
ライブ会場にいた客が全員移動したかと思うくらい多くて、貸し切り状態になる。
そして翌日には都合の合う人間が集まり遊園地でばか騒ぎ。
月数回の理由がわかる気がしないか?
少しだけ内容がずれたな…。
で、だ。
その月数回と、俺が休日に出掛ける日は彼女を見かける。
必ずと言っても過言ではないだろう。
見かけない日はない。
うん、一目惚れってのは日本語としてどうなの、て思ったかもしれないな。
まあ待て、説明するから。
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