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「なんで駄目なんだよ?」
雲一つない青空の下。
要するに快晴だ。
そんな空の下で、俺は年の老いた行商人に不満の声を出していた。
自分の黒髪をボサボサとかきながら文句を飛ばす。
「『駄目』とはいってねぇ。『無理』と言ったんだぁ」
行商人は方言の混じった特徴ある声でため息をつきながら言う。
「あの町は無法地帯だから危険なんだぁ。おいらのような行商人はそういったところを避けるようにしてんだぁ」
まぁ確かに常識と言えば常識かもしれない。
無法地帯は国の法がない、難民が集まるところ。
荷物を持った行商人が近づけば格好のエサとなり、難民達に身包みをはがされるだろう。
「……うーん。だけど『光』はあそこにあるはずだからな……」
「ぴかり?」
「ん、なんでもない」
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