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部屋に入り近づけば、姫はにっこりと微笑んだ。
「もちろん普通に入ってきたよ?」
「いや、門は閉まってただろ?」
「うん。だからその脇にあった茂みから普通に入ってきたけど…」
「不法侵入じゃねーか!」
さらりととんでもないことを言う彼女に、呆れつつも突っ込んでしまう宍戸。
まぁいつものことだから仕方ない。
そう割り切って宍戸は荷物を纏める作業に入った。
「チョタに負けたんでしょ?」
「…あぁ」
一瞬、宍戸の手が止まる。
「残念だったね」
「仕方ねーだろ」
「選抜に出たかった?」
「別に……」
手が止まったのも一瞬。
黙々と片付けの作業にかかる宍戸に、姫は遠慮することなく会話を続けた。
「チョタに負けたことが悔しい?」
「悔しいっつーか…」
「じゃあチョタが羨ましい?」
「………」
なんで姫はこんなことを聞いてくるんだ。
負けた俺への嫌味か何かか?
宍戸は適当に答えながら何かから逃げるかのように荷物の整理をした。
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