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「わりー…」
一通り話終えた後、宍戸は小さく呟いた。
「なんで?」
「弱音吐いちまって…カッコ悪いよな、俺」
「ばーか…」
「なっ!人がっ…!」
「誰だって弱音くらい吐かなきゃやってけないよ…それにカッコ悪くなんかない。自分の弱さを言えるなんてカッコ良いじゃない」
「姫…」
「それに…あんま弱音言わない宍戸が私に話してくれて、嬉しかったんだから」
温かい。
こうも人は愛するものの言葉で温かくなるのか。
後ろを振り返り、正面から姫と向き合う。
そうすれば眩しいくらいの笑顔を向けた姫がいた。
「今度やるときは負けないよーにまた努力すればいーじゃない」
「そうだな…今以上に強くなって今度はあいつを負かしてやるか」
「そうそう!そんな前向きな宍戸が好きなんだから」
誰もいないのをいいことに、二人手を握ったり唇をあわせて愛を確かめあう。
そうだ。また次がある。
これで終わりじゃない。
それに…側には元気づけてくれる姫もいる。
俺の夏は終わったわけじゃない。
ただ、一つの通過点を過ぎただけだ。
END
→オマケ
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