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疲れた私に
あなたはどんなことを言ってくれますか?
「………」
疲れた。
毎日毎日上司の嫌味と部下の尻拭い。
もう精神にずたぼろだ。
早く帰ってシャワーを浴びよう。
そしてご飯を食べてゆっくり休もう。
そんなことを考えながら仕事の終わった姫は借りているマンションへと向かった。
生活に最低限必要なものしかない部屋だが、ゆっくりと休むには十分だ。
やっとマンションに着き鍵を開けようとすると、感じる違和感。
いつもならば鍵をかけてでるから、開ける時には必ずカチャリと音がなるのに、今は鳴らなかった。
もしやと思い急いでドアを開く。
と、玄関に見覚えのある靴が無造作に置かれていた。
「…亮?」
リビングへ足をすすめれば、そこにはまだ実家にいた時の隣近所にいた宍戸亮という男。
宍戸は姫の存在に気付くと、“よぅ”と片手をあげた。
「突然どうしたのよ」
「いつでも来ていいって言ったじゃねーか」
「そうだけど」
今まで使ったことなんかないじゃない。
そう言い掛けて姫は口をつぐんだ。
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