血塗れの薔薇狂想曲

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白薔薇と緋薔薇 『何故・・・私を置いて逝って しまったのですか・・・』 それは去年の春の事 大好きだった兄様が誰かに殺された・・・ 優しい兄様・・・あの日した約束・・・ 『兄様』 「どうしたのかい、ヘル」 『兄様の為に花を摘んだの』 「白薔薇・・・綺麗だね」 『ねぇ、兄様この屋敷を白薔薇で一杯に したら素敵じゃないかしら』 「それは良いね。じゃあ君の誕生日に 白薔薇でこの屋敷を飾ろう」 『約束よ?兄様』 そして彼女の誕生日が来た・・・ 「お誕生日おめでとうヘル。 庭を観てごらん」 そこには広大な庭を埋め尽くすほどに 広がる白薔薇の海・・・ 『有り難う兄様・・・』 幸せそうな彼女の笑顔・・・ その晩、悲劇は起きた 翌日庭を見渡すと白薔薇の中に 緋薔薇が混ざっていた・・・ 彼の血を啜って緋に染まった薔薇が・・・傍に事切れた彼の姿もあった・・・ 『何故・・・私を置いて逝って しまったのですか・・・兄様・・・』 真実は白薔薇だけが知っている もう一人の彼女の姿を・・・ 『兄様、緋薔薇の花言葉はご存知? 深い愛情よ・・・ でも今日の緋薔薇は特別なのよ。 兄様の血で染まった薔薇の花言葉は 深い愛憎・・・ 私から兄様へのね・・・フフフ』
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