旅の終わり

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 アロンダイト=ダル=レスターは、先頭を慎重に歩く。  ダイア=ドレンサーはいつ敵が襲って来ても良い様に身構えながら歩く。  テレス=シンファーは恐怖に駆られながらも、いつでも呪文を唱えられる様に、呼吸を整える。  『サヴァン(賢者)』と呼ばれるハスターは、いつも通り、落ち着いて最後尾を歩いている。   「静か過ぎじゃねぇか?」    やがて、二番目を歩くダイアが口を開いた。  体を守る鎧に刻まれた傷が、今までの旅の過酷さを物語っている。女性でありながら、戦闘の際は誰よりも前に出て、果敢に魔物を倒す。   「気配はあるのに、攻撃する意志が感じられませんね」    最後尾に居る、小柄なハスターが続く。  二十半ばから『サヴァン(賢者)』と謳われ、三十を数えた現在、三大賢者の一人に名を連ねている。   「どこも同じよ。大人しいのは最初だけ。後からみんな一斉に来るつもりなのよ……」    三番目のテレスは、杖に縋るようにずっと強く握っている。細く小さな体のどこに、そんな魔力があるのか不思議なくらいの高い魔力で放つ魔法は、魔物を一気に吹き飛ばす。   「警戒するに越した事はない。ここは魔王城なんだからな」    先頭で口を開いたのは、まだ、少年と言えるアロンダイト。彼の高い声は、凜として響く。  背負った、装飾の美しい剣「ホーリー・オブ・ホワイト」は罪のない者を傷つければ、刃が黒くなると教えられた。    四人の足音は、薄暗い廊下に反響する事なく、闇に吸い込まれた。
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