食堂

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 柔らかいイリアの口調と、その残酷な内容はちぐはぐで、更にダイアの怒りを煽る。   「人間食って力つけてたテメェらが、なんで人間食うのを止めんだよ! それじゃテメェらは弱るだけじゃねぇのか!?」   「はい。その通りです」    ダイアの怒りすら包み込む様に、イリアは微笑む。何を言っても暖簾に腕押し、肯定して欲しいはずなのに、いざ全てを肯定されてしまうと、何を言えば良いのかが解らなくなる。   「でも、アロンのお父様は言われました。『人を食べて力がつくなら、人と同じ物を食べていれば、力が弱まるのを防げるんじゃないか?』と。なかなかオーガ達は料理と言う物を理解出来ず、みるみる弱くなってしまいましたが……」    イリアは言葉を切り、手を叩いて先程のコボルトを呼ぶ。   「はい、ここに」    コボルトは食堂の隅で一礼し、返事をした。   「コボルト達は人と同じ食べ物を食べ、人の子と同じく教育を施しました。この子、言葉がとても上手でしょ? 最初にアロンのお父様がお気づきになられ、言葉を教えたのですよ。本当に驚きました。だって、城の掃除をするしか役目の無かったコボルトが、私の執事を熟したり、素晴らしい絵を描いたり、他の魔物の子の世話をしたり……。今では、私達の社会には必要な存在になっています」
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