食堂

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 それに、と付け足してイリアは柔和な笑みを浮かべる。   「そもそも、私達が強くなくてはいけない理由ってなんだったかお解りですか?」    イリアの言葉の意味が解らず、ダイアは戸惑いに怪訝な顔をし、アロンダイトも眉をひそめた。テレスは考える様に首を傾げ、ハスターが答えた。   「敵対する私達人間の数が多かった……そうでしたね」   「はい、その通りです」    イリアは答えた後、思い出す様に目を閉じ、沈黙した。   「昔……遥か昔の話です。あんまりにも古くて、記録も途切れ途切れな位です。私達は人々と戦争をしました。長い長い戦争でした。人間は圧倒的な数で私達を襲い、私達は人間を凌駕する魔力で応戦しました。百年……位でしょうね。長い戦争の末、私達はこの島に逃げ込み、一旦収縮しました」    大陸から離れた位置にある島は、行き来するにはかなりの労力を必要とし、結果的に魔族と人間を遮断した。   「長い戦争で負った傷は双方共に深く、そんな戦争があった事すら忘れてしまう程の長い間――いえ、今もですね。ずっと対立しています」
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