食堂

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 意外な話にダイアは黙って聞く。テレスは戸惑い、何かを言おうと口を開くが、言葉にならない。アロンダイトは混乱のあまり、間抜けな表情をしている。  ハスターだけはイリアの話を頷きながら聞いていた。   「貴方達を傷付けた罪を帳消しに、とは言いません。ですが、私はもう戦う事に意味を見いだせないんです。止めましょう? 戦い続けても、無意味です」    それぞれの色を見せる八つの瞳を見ながら、イリアは紫色の目を優しげに細め、和平を求める。  戸惑いを見せる一同に、イリアはハスターから離れ、混乱に言葉を失っているアロンダイトに近付いた。  おそらく、この城に到着した時ならばイリアに斬りかかっただろうが、今のアロンダイトにはそんな気力はなく、近付いて来るイリアをただ呆と見ていた。   「私は、生まれながら高い魔力を持っています。属性は炎」    イリアは優雅に歩きながら言い、白く細い手を伸ばす。   「近付く者も高い魔力が無ければ、私の魔力によって燃えてしまいます。魔力の炎ですから、消えません。つまり……」    幼さの残るアロンダイトの顔に、イリアの細い指が触れる。   「貴方達以外の人間では、私に近付く事も、こうして触れる事も出来ません……これでも、封印を施してはいるんですよ?」    イリアの触れた部分が、少しだけ熱を持ち、アロンダイトの片頬が赤くなった。  イリアの胸ぐらを掴んだ事を思い出したダイアが自分の手を見ると、軽い火傷を負っていた。もし直接触れていたら、もっと焼けていたと言う事になる。
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