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「テメッ!」
「ダイア!」
ゾッとした自分を悟られない様に叫んだダイアだが、即座にハスターが制する。
アロンダイトは赤くなった、熱い頬に触れ、辛そうな表情のイリアを見る。
「……信じて良いのか?」
「アロン!? テメェ何言ってんのか解ってんのか!?」
アロンダイトの言葉に、ダイアは叫ぶ。
ダイアは肉親を奪われた憎しみを魔物達にぶつけて来た。停戦や和平となれば、その殺して来た魔物達とも手を繋がなくてはいけない。
自分の肉親を奪った魔物と、自分が肉親を奪った魔物と、共生する事に激しい嫌悪感を感じていた。
「俺は……世界平和の為に戦って来た。世界平和の為に魔王を倒すと神に誓った」
アロンダイトの言葉を聞き、テレスは旅の途中、彼は幾度と無く教会で祈りを捧げていた事を思い出した。
何を祈っているのかと尋ねると、アロンダイトは『人々が安心して過ごせる世界を作ると神に誓っていた』と稟とした表情で言っていた。
「……アロン」
テレスはその時と同じ表情でイリアと対峙しているアロンダイトを見る。
「俺は、知りたい」
テレスは稟としたアロンダイトの表情が好きだった。
正義も悪も、憎しみも真っ直ぐに見つめ、立ち向かって、乗り越えようとする姿が好きだった。
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