驟雨

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一人で弁当を作って、一人で朝ご飯を食べる。 この生活も一年。 食べ終わったお皿を洗う。 上で声がする。 ドスッと嫌な音がした。 きっと、お父さんがお母さんを蹴り飛ばしたんだろう。 上で繰り広げられる戦いを無視し、鞄を持って家を出る。 辺りをキョロキョロと見渡し、オレンジ色の傘を差す。 雨の日は電車が混んで憂鬱だけど、ご近所さんに会わない。 最近はますます後ろ指を指されるし。 水膨れをバンドエイド、靴下、革靴が圧迫する。 左は踵をやられたからつま先で歩く。 右は土踏まず。 どこをどうしても痛いから、右足もつま先で歩く。 後ろから見れば、踵を上げた変な女子高生だ。 家から十分の駅までの道が遠い。 いつもなら走っていくのに今日は無理だ。 大人しく歩いていく。
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