驟雨

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お父さんはビール瓶を床に置き煙草を取り出す。 「本当に『お前』はグズだな!」 煙草に火をつける。 「俺と一緒に入った同期の娘は県最難関高校合格。俺の後に入った後輩の娘は中学受験して合格。『お前』それでも俺の子か!!」 紅奈に罵声を浴びせ煙草を吸う。 フゥ- 紅奈に顔に煙を吹き付ける。 「どうなんだ!!!」 「…………」 そんな事を知るはずもない。 反対にこっちが聞きたいくらいだ。 小学生の頃、親から中学受験を推進された。 当時は真剣に考えていなかったがそれは親の見栄張りをする為だと、ここ最近になって知った。 中学受験は散々だった。 緊張の余り、試験中に鉛筆や消しゴムを何回も落とし、頭は真っ白。 面接試験も試験官から何を言われ、自分が何と言ったかも分からないまま終わった。 勿論、中学受験は落ちた。
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