驟雨

5/16
前へ
/73ページ
次へ
その頃から、お父さんは壊れていった。 毎日、毎日お酒を飲んでは、お母さんに怒鳴り散らす。 もう、私の事を『紅奈』とは呼ばない。 大きな手で『紅奈は自慢の娘だ』と言っていた頃が懐かしい。 今は、『あいつ』とか『お前』と呼ぶ。 だから、認めて欲しかったんだ。 県最難関の高校に魅力を感じなかったし行きたくもなかったけど、お父さんがお母さんを怒鳴り散らさなくなるのならって、もとに戻れるのならと一生懸命勉強した。 お父さんもそれを望んでいたみたいだし。 お母さんもそれを望んでいたみたい。 でも、結局は学力不足。 前期試験では、入れなかった。 お父さんもお母さんも後期試験で入れって言ったけど、中学受験がフラッシュバックし、レベルを落として今の高校に入学した。 そこからが地獄。 何で、勝手にレベル落としたと殴られ、蔑まれ、泣かれ……。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加