1章

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…―――あの日私は売られた。 もともと裕福な家ではなかった。 小さな貧しい村の小さな貧しい家。 私はいつも独りで同じ年頃の子供たちにいじめられていた。 きっと運が悪かったんだ。 周りの子供たちも貧しく、常に空腹だったはず。 その不満をぶつける対象が偶然私になったんだ。 私も何か文句を言うか少しぐらい泣けばよかったのかもしれない。 でも、涙なんてもう枯れてしまった。 私の心はとうの昔に死んでしまったんだ。
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