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八百万という単語を聞いた瞬間、楠はうんざりとした表情に変わり、飛高が次の言を紡ぐ前にまくし立てた。
「日本人独特の考え方で、万物には神様、すなわち意志が宿っている。何回お前から聞いたと思っている、この阿呆」
飛高はそれを聞くとニヤリと笑い、楠はしまった、と舌打ちをした。
「じゃあ、聞くがカンナにも意志があるよな?」
「っ‥‥」
楠はそれで言を紡げなくなり、沈黙した。
楠を沈黙させた偉丈夫、飛高八雲は入学当初のあの件の時から僕の親友だ。
楠とは幼なじみらしいが、それ以上の関係かそれ以下の関係かは分からない。
「カンナ、お前今日用事があるとか言ってなかったか?」
不意の飛高によるその言葉、それに僕はボディーブローを食らったかのような衝撃を受けた。
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