朝と夜

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ご主人様は私を軽く抱き止めて言った。 「鏡の方向いてくれる?このままだと君の背中かしか確認できないんだけど。」 「嫌!前見られるくらいならずっと背中見られてる方が良い!!」 そう言いながらご主人様のスーツにしがみつく私にご主人様はまた苦笑しながら言った。 「どうせ全身見られるの分かってるのに、わがままだなぁ。大丈夫。恥ずかしがる事ないよ。綺麗だから。」 胡散臭い台詞をぽんぽん言う人だなぁと思いながら、軽くご主人様を睨む。 けれどご主人様はそんなの全く気にしない涼しい顔をしていた。 「ほら。前向いてごらん。」 ご主人様にゆっくり促されて怖ず怖ず鏡の方を向く。 自分の顔が直視できなくて俯いた時、靴を履いてない事に気付いた。 強引に試着室から引っ張り出されたから靴を履く暇が無かったからだ。 「靴履いてなかった。。」 ボソッとすねた子供のように言うと、ご主人様はヒールの高い黒い綺麗なラインの靴を選んで私に履くように言った。 素直にその靴を履いて鏡の前に立つ。 「うん。綺麗だ…。やっぱりスタイル良いね。この赤い色も肌が白いから良く似合う…。」 ご主人様は満足そうに言ってくれた。 その様子はとても嬉しかった。 慣れない恰好で恥ずかしいけれど、肌を露出したセクシーな服を着た私を「良い女」だと褒められて嬉しかった。
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