朝と夜

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同じような事を繰り返しながら、他の服も試着してみた。 けれど最初に着た服が一番気に入った。 「じゃぁ、その赤い服にしようか。あと、その黒い靴だね。ワンピースだけじゃ寒いだろから、ストールも買おうか…」 そう言うご主人様に驚いて言った。 「え!?ダメだよ!」 「ストールじゃなくてジャケットとかのが良い?まぁ、寒いだろうしね。」 何か私の言いたい事とは違う解釈をしたらしいご主人様に焦って言う。 「いやいや!そうじゃなくて!もしかして買ってくれるつもりなの?だったらダメだよ!こんな高そうなもの…。申し訳なくてできない!」 ご主人様は少し困ったように言った。 「僕が買ってあげた服を着た君と食事がしたいんだよ。だから気にしないで。」 私とご主人様の押し問答はしばらく続いたけれど、最終的に折れたのは私だった。 けれど、やっぱり申し訳ないので、ストールを選ぶ時にあまり金額が高くないものを選んだ。 そういう選び方をする私をご主人様は困ったような、呆れたような顔で笑った。
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