朝と夜

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バーに着き、ご主人様に促されるままカウンターに座る。 ご主人様は本当に常連らしく、親しみを感じさせる笑顔で店員さんはご主人様と私を迎えてくれた。 「何を飲む?」 ご主人様に聞かれて少し悩む。 普段からあまりお酒を飲まない私は、お酒に関しての知識が無いに等しい。 バーに連れて来られても、見慣れない所か聞き慣れないお酒の名前を見て何を選べば良いのか困ってしまった。 困ってしまった私を見て、ご主人様はバーテンダーさんに向かって言った。 「俺はウイスキー。それから、彼女のイメージに合うカクテルを作ってくれる?」 そう言われたバーテンダーさんは少し苦笑いしながら言った。 「また、そういう俺を試すような事を言うんですから…。嫌な性分してますよね。」 古い友人同士が相手をからかってじゃれ合うような安心感と居心地の良さと楽しさがそこにあった。 ぶつぶつ言いながらリキュールを選ぶバーテンダーさんを、ご主人様は楽しそうに眺める。 私はどんなカクテルが出てくるのだろうと、ドキドキしながら二人を眺めた。
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