朝と夜

22/25
前へ
/36ページ
次へ
美味しいお酒を飲んで、ほろほろと酔った私は気分が良かった。 ご主人様が一瞬、席を離れた。 その背中を眺めながらカクテルを口に運ぶ。 ふと視線を感じて、その方向に目を向けると、若いスーツ姿の男性と目があってしまった。 反射的に目を逸らして、バーテンダーの方に話しかけた。 「…あの、私、変じゃないですか?何となく、さっきから見られているような気がしてしまって…」 俯きながら言うと、その人は明るい口調で答えてくれた。 「いやいや。変じゃないですよ。というか、つい目がいっちゃうんですよ。これは男の性ですね。」 「そんなものですか…?」 そう質問した時、ご主人様が戻ってきて私の隣に座った。 ご主人様にどうかしたかと聞かれて、会話をそのまま伝えると、ご主人様は私と目があった男性を横目で見た後、口元を緩めて言った。 「若いなぁ。」 もう1度、私がその男性に目を向けようとした時、ふいにご主人様は私の耳元の髪をかきあげて、顔を寄せてきた。 そして耳元で囁く。 「次は髪を上げた方が良いね。綺麗な背中が見えない…。」 そういいながら、ご主人様は私の太腿を撫であげた。 思わず体がビクっと反応して全身に力が入る。 ご主人様は固まってしまった私をほぐすように、ゆっくりと触れるか触れないかの微妙なタッチでさらに太腿を撫でる。 その触れ方は絶妙で、全身に鳥肌が立つようなむずかゆい感覚が全身に走った。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加