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「僕も知らない間に溜め込んだライターが家のあちらこちらを占拠してますよ。」
沢山のライターを想像すると何だか可笑しくて笑いがこぼれた。
「それわかります。でも時々ライター忘れちゃって家のライター増えちゃうんですよね。」
「そうそう。」と彼は言いながら再び煙を吐いた。
2本目の煙草を口にくわえ、予備のライターを取り出して火を点ける。
「ライター、いつも何個も持ち歩いてるの?」
「基本、3個位は持ってますよ。何か常に鞄の中に入ってないと不安で…。これが無いと煙草吸えないじゃないですか。」
「ヘビースモーカーの発言ですね。」
からかうように彼は言った。
「自他共に認めるヘビースモーカーですよ。」
苦笑しながら答える。
「なるほど。だからライターくれようとするんですね?常に自分が持ってないと不安だから?」
初対面の人間に自分を分析されているようで、何だか奇妙な感覚が走った。
けして嫌な感覚では無いけれど、心地良いとは言えない奇妙な感覚。
「まぁ…。そうかもしれないですね。もしご迷惑でしたら、すみません。」
そう言うと彼はまんざらでも無いといった様子でライターを軽く持ちながら言った。
「使わせてもらうよ。ありがとう。」
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