9人が本棚に入れています
本棚に追加
王女の問題発言から一週間。
何もない日々が過ぎていた。
一通の手紙が届くまでは―――――。
「フォーレンから………手紙?」
イルファーナと第一王女エリザ宛ての手紙。
国王たる父に呼ばれ、二人は戸惑いの表情をした。
今までこういうやり取りをすることがないわけではなかったが、祖母が亡くなった十年前からはパタリと無くなったのだ。
何故今になって………。
「何が書いてあるんですか?」
「二人の王女をこの次の舞踏会に誘いたいと……」
イルファーナは怪訝な表情をする。
それこそ、今になって………である。
「お祖母様が生きていらした頃ならわかりますが………」
祖母が生きていた頃は、季節の替わりめには挨拶の手紙がきたし、誰か王族の誕生パーティーなどには必ず招待状が届いた。
小さい頃はイルファーナもよくフォーレンに行ったものだ。
「第一王子を覚えているかい?」
父の言葉に思いだそうとするが、イルファーナには心あたりがない。
確か自分より五つぐらい離れていたはずだが…………。
最初のコメントを投稿しよう!