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明日の支度があるから、と立ち去るカルの背を見送り、イルファーナは思う。
(私の幸せなんて―――指の隙間から抜けていくようね……)
この国の次に大切だと思えた人が去っていく。
まるでイルファーナには幸せになる資格がないといわんばかりに―――。
(……この国より大切に思わないと………ダメなのかしら)
この国の王女として育った彼女には無理なことだった。
第一に国を、国民のことを考える―――。
決意を固め、イルファーナは父王の元に行く。
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