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「フォーレンは親戚になるわけだけど――――あっちはどう思っているかわからないし……」
大国にとって親族は多いだろう。
イルファーナたちとて、そのうちの一人に過ぎない。
「……父様も姉様も………今のままでいいというけど………」
イルファーナの目の前に広がる美しく自然。
確かにこのままでいい、と思えることもある。
けど、国民の生活を思えば、もう少し豊かであるべきだろう。
国に技術をもたらすのも時間がかかる。
お金も必要だ。
「―――私がどこかに嫁げは………少しは問題が解消されるかしら……」
少しでも国の為に―――。
そんな王女の言葉き青年は真顔になる。
「そこに王女様の幸せは含まれているんですか?」
「私のことなんていいのよ」
「誰もそんなこと思いませんよ。この国の人たちは誰かの幸せの上に成り立つ自分たちの幸せなんて…………」
青年の言葉き、ギリッと唇を噛み締める。
そんなこと言われずともわかっていた。
父も姉もそんなことを望んでいないということを………。
「きっと………この国の人たちはイルファーナ様にも幸せな結婚をして貰いたいと思っていますよ」
ニッコリと言い放つ青年を、イルファーナはため息混じりに見た。
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