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side"私"
それは、皮肉な程に清々しい朝。
重い瞼を開いて一番はじめに視界を覆ったのは、破りたくなるほどの真っ青な空。
そしていつものように再び眠りに墜ちそうになる。
けれども咄嗟に異常を感じてもう一度目を開けた。
あまりに空が青過ぎて、距離感さえ無い。まるで手を伸ばせば届きそう―…
しばらくそんな空を呆っと見ていた。しだいに覚醒していく意識。
ここは何処――…?
起き上がるのが怖かった。空はこんなにも綺麗だけど、周りは目を覆いたくなるような悲惨な光景な気がしたのだ。
それでも恐る恐る体を起こす。
目の前に広がったのは――
灰色のコンクリートと錆びたフェンス。そしてその向こう側には雑然とした街を見下ろす景色。
ここは――
「屋上…?」
自分の体を見た。
白に紺のセーラー服…
ところどころ、泥のような汚れがついている。
手や足、顔以外の自分の体を見回した。
当たり前だがただの肌色。
ところどころかすり傷はあるが、大きな怪我はない。
何してたんだろう―…
そのときはまだ、その程度の疑問。
きっと授業をサボって昼寝でもしていたのだろう。
フェンス越しにかなり遠くまで街が一望できる。
ところ狭しと家やビルが建ち並んでいた。
やけに静かだ。
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