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side"俺"
実験室を出た俺は長い廊下を歩く。まるでわざと時間を消費しようとするかのようにゆっくり…
窓からは校庭が見える。
誰もいない。教師や生徒などの人がいないのはもちろん、猫や鳥すら一匹たりともいなかった。
気味が悪い。
あえて窓の外から目をそらした…
ふと思い立って、廊下に並ぶ教室の一つに入ってみる。
教室の中を見渡した。
教壇の上に置かれた花瓶――そこに挿さった一輪の花。
その花は多少しおれてはいるものの、まだ枯れてはいない。
見上げると、黒板の上方の壁には時計がかかっていた。
時計の針は5時。しかし秒針は動かない。時計は止まっていた。
まるでRPGだ…
思ってから自分で馬鹿らしくなる。
これはきっと、夢だ。
疲れすぎた夜に見る、奇妙な夢だ。
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