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side"私"
此所がどこだか分からない。
勿論、学校だということは分かるが…。
自分が通っている学校なのか?
そもそも"自分"が分からない…。
名前も、過去も。
ゴーーーン……
地の底から響くような音。建物が微かに揺れる。
「……?」
驚いて私はあたりを見回す。やはり誰一人いなかった。
今の音は…
まだ何処かに、"動くモノ"があるということだろう。
少しだけ、期待を抱いた。
とにかく下に降りよう。
まだ誰かいるかもしれない。
薄暗い階段を下る。私の革靴の足音が、溢れた沈黙を裂いていく。鼓動はどんどん速くなる――
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