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「あの時、凄く嬉しくて心強かったんだ。
…だからね。もし薫ちゃんに何か困ったことがあったら、今度は私が力になろうって思って」
振り向いた顔は、夕陽のせいで赤いのか、それとも別の理由なのか、赤くはにかんでいた。
私利私欲で動いていた私の行動を純粋に受け止め、そしてそれを何倍にもして返そうとするその姿に、私の心は激しく打たれた…
これからはちゃんと誠実に、ひたむきに人と向き合おう。
あなたのように。
いつかあなたに本当に優しくして、喜んでもらえるように。
「ありがと…ッ、あゆちゃん…」
「いいえー」
ひっそりと恩返しを決意し、心からのお礼と共に、また涙腺が緩んだ。
…それが中2の夏の話。
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