騎士か小姑か

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他人のiPodが新鮮で興味深いのか、目を合わせず答えるあゆちゃんを、こんなに間近で見るのは初めてだった。   栗色の髪は自分でも唯一の自慢だと言うだけあり、サラサラと流れるように艶めいて、ふわりと香る甘いヘアコロンの匂いが心地よい。   自分では気に入っていないようだが、顔だって華やかではないがナチュラルで可愛いと思うし、化粧をしなくても肌が白くて綺麗だ。   …そして何気に胸がある。   第2ボタンまで開けられたYシャツから見える素肌が、艶かしく映った。       「槙村くん」   「…何?」       あゆちゃんの胸元に目を取られてたとは思えないような無表情で返した、と思う。   そんな俺の卑しさを塵にするほど、あゆちゃんは無垢にはにかんだ。       「今までそんなに絡めてなかったけど、洋楽とかiPodのカリカリ音とか、共通点けっこうあるね」   「…ソーダネ」       ただ純粋に喜ぶあゆちゃんにさすがに申し訳なく感じて、カタコトになる俺。       「これからはたくさん話そうよ!槙村くんのこと、もっと知りたい」       アレ。俺、口説かれてる?  
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