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タイミング悪くというのか、むしろ良かったのか
しばらくはまた個人の仕事が多くなっていた
ドラマもどんどんスケジュールが詰まってきて、毎日深夜まで撮影というのもザラで
遅くに帰るから体も疲れて家についたら即寝る、といった毎日だった
それは俺にとって好都合だったのかもしれない
他の事を考える余裕がなくなったから
しかし、あの日増田が部屋に忘れて行った時計を見る度に
唇の焼けそうな熱さと柔らかさを生々しく思い出して俺は目を伏せる
そして、暗闇に浮かぶのはいつも同じ泣き顔で
(ああ、俺はあいつを泣かせてばっかりや)
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