四章

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「今、何を隠した?」 そう言って、ゆっくりとこっちに近づいてくる会長に俺は包帯の巻かれていない方の腕を掲げて横に振った 「な、何もっ!!何も隠してないって!!だから、近付くなっ!!」 思わず上擦った声が出たが、そんなの気にするかっ!! コツコツと音を立てながらニヤリと笑う会長を見つめながら俺は背中に冷や汗をダラダラと留めなく流していた コツッ… とうとう俺の目の前まで来た会長は、スッと腕をのばし後ろに組んでいた片腕を掴んだ そして勢いよくグイッと上に引っ張られた 「っ!!」 一瞬感じたビリッとした痛みに手を握りしめていた 「!!」 腕に巻かれた乱雑な包帯を見て、会長は目を見開いた 今が冬だったら良かったのに… 長袖だったらまだ良かった そうすれば、この適当に巻かれた白い包帯から染み出た赤い模様を見られることはなかったのだろう まぁ、こんな傷をつくってしまった俺が一番悪いんだけどね でも、無意識のうちにやっちゃってるんだよねーっ; このリストカット… .
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