神のみぞ知る伝説

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神のみぞ知る伝説

━━━━━━━━━━━━━━━ 黄昏の橋――― 初めてその橋が掛けられた時 初めてその橋を渡った者が、そこから見た夕陽の美しさに一晩中橋の上で立ち尽くしたという逸話のような実話から、その名が付けられた そんな美しさに構うことなく、一行は長さ数十メートルに及ぶその橋を渡ってゆく レインバレル『・・・やはり罠か』 レイヴン『・・・いるな』 ザッザザザザザッ!! 物陰から隠れていた総勢60ものガンナーが、橋の真ん中に差し掛かった一行を狙っていた レインバレル『・・・・・・』 ヴィルマ『大変ですねえ、これは』 レインバレル『・・・ヴィルマ』 ヴィルマ『はい?』 レインバレル『・・・知っていただろう?』 ヴィルマ『・・・・何がですか?』 レインバレル『・・・隠していたんだな?』 ヴィルマ『・・・まさか僕が裏切ったと?』 レインバレル『それ以外考えようがない』 ヴィルマ『・・・フフフ』 ヴィルマ『あなたを相手に隠すことなんて不可能ですしね・・・』 レインバレル『肯定ととるぞ?』 ヴィルマ『しかし・・・可笑しな事を言いますね。レインバレルさん』 レインバレル『・・・』 ヴィルマ『裏切るも何も、僕は始めからあなたに従っていたつもりはない』 レインバレル『お前はそういう奴だと思っていたよ。だからこそ俺も、こういう事態は予測していた』 レインバレル『何の策も講じていないと思ったか?』 ヴィルマ『!?』 ダダダダダダダダンッ!! 突如、一行を狙っていたガンナー達が一斉に倒れる ヴィルマ『・・・・まさか伏兵を連れてきていたとは』 レインバレル『フンッ、お前の考えなんざお見通しだ』 ヴィルマ『そうですか・・・・フフフ』 レインバレル『お前に、一つだけ問う』 ヴィルマ『何ですか?』 レインバレル『・・・同じ釜の飯を食った者達を裏切り、お前は何も感じないのか?』 その問いには、レインバレルの哀しみが込められていた 勿論、異端揃いの羅刹龍騎士団の面々も、流石にショックだっただろう しかし、彼は精一杯の嘲笑でそれを返した ヴィルマ『理解し得ないでしょうが、言わせていただきます』 ヴィルマ『僕は、人の生にも 人の死にも なんら興味はない そして・・・ 誰かの死を悦んだり 誰かの死を慈しんだり 誰かの生に歓んだり 誰かの生に哀しんだり そんな感情よりも、いの一番に大切にしているものがあります』 レインバレル『・・・・何だ』 ヴィルマ『時の流れです』
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