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次の日の放課後。
三人は帰るために下駄箱にいた。
「あー体育疲れた・・・」
「・・・女子はバスケか?」
「でもオレが見たとき3ポイント笑顔で決めてたぞ」
「う、まぁ好きなんだけど勧誘がね・・・毎回されるからさぁ」
「あー、オレらもだよ」
三人が昇降口を出ようとしたとき、周りが騒ぎ出した。
「さっきから言ってるじゃねぇか『ルナティアス』はどこだってさァ」
騒ぎの中心にいたのは赤毛の少年だった。
まだ暖かくはないのに薄着で異世界じみた服を纏っていた。
ざあっ・・・と生温い風が吹き、少年の長い前髪を乱す。
髪の間から見えた彼の赤い瞳は心がざわめくような、そんな光を宿していた。
「誰、あれ」
「寒くないのかな」
「あれ染めてんの?」
「近付いちゃマズくない??」
ひそひそと生徒たちは囁き合った。
距離は置いてはいるが、やはり気になるらしく、声が聞こえる範囲から離れようとはしなかった。
話しかけられた男子生徒は周りの視線の多さに戸惑っていた。
「おい、『ルナティアス』はどこだって聞いてんだろォ・・・??」
男子生徒ははやくこの少年から解放されたいという一心で口を開いた。
「し、知らないよ!それ、外人?そんな人いないと思うよ、間違えたんじゃない?」
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