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「『ルナ』、まだ出て来ないつもりかァ??」
「・・・!」
「な、何なんだアイツ・・・」
少年は溜め息をつく。
「オレが手加減してンのわかってんだろォ?」
少年は男子生徒の腕をとり捻りあげる。
「痛えっ離せっ!ぎ、ゃあぁぁあ゙・・・!」
「このまま腕折ることも出来んのになァ・・・」
「やっ、止めろ・・・!!」
「だって『ルナ』が出て来ねぇしよォ」
男子生徒の腕がミシリ・・・と音をたてる。
「あああ゙!」
「・・・飽きたなァ」
少年はパッと手を離した。
解放された生徒は肩で息をする。
顔は涙でぐちゃぐちゃだ。
「ひ、ひでぇ・・・」
「何で・・・?」
生徒たちは少年と目を合わせないように囁き合った。
「は、早く出て来なさいよ・・・!」
「誰だよルナって」
「知らねぇよ・・・」
「こ、殺されたりとか・・・」
「や、やめなさいよ・・・!」
少年はまた宙に浮く。
「『ルナ』出てこいよォ。オレと遊ぼうぜェ?」
少年は再び声をかける。
生徒たちはさっと下を向いたり人影を探す。
早く解放されたいのだ。この理不尽な恐怖から。
瑠奈は唇を噛む。
律が瑠奈の異変に気付く。
「・・・瑠奈、怖いか?」
「・・・あ、うん・・・」
「!・・・オレが・・・オ、オレたちがついてる!」
「・・・う、ん」
少年は誰も動かないのを見て眉間にシワを寄せた。
「まだ、か。ルナのことだからちょっと周りのヤツら痛めつけたら出てくると思ったんだけどなァ。」
少年はくしゃっと頭をかいた。
「ま、いいや。飽きてきたし、もう終わりだ。」
「え・・・?」
「・・・何だ?」
「もう、皆殺しだ」
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