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「お前がルナだったのかァ」
ニヤリと少年ーディアは笑った。
「私の友達には触れさせない・・・!!」
ポゥ・・・
瑠奈の指先が淡い光を放つ。
動くようになった手で足を触ると体の自由を取り戻した。
そして流れるような動きで瑠奈はディアとの距離を詰め鋭い蹴りを放つ。
陣たちにはその足さばきは見えなかった。
が。
「おっと」
ふわっ・・・と宙返りをして蹴りをかわす。
「ふうん。鈍ってはいないみたいだなァ」
「何様!」
「瑠奈・・・?」
瑠奈の背中に陣の声がかかる。
確かめるような声。
瑠奈か、『ルナ』か。
「・・・陣、律、下がっててね。」
振り返ったその顔は泣いているような笑顔だった。
「・・・瑠」
瑠奈はディアに向かっていく。
陣はおいて行かれたような、瑠奈が遠くへ行ってしまうような、そんな気がしてならなかった。
「『マグナ』!!」
瑠奈は空に向かって叫んだ。
「何だァ?何をした?」
瑠奈は答える代わりに脚や拳を繰り出す。
ディアはそれを全ていなす。
「・・・その体で戦うの、辛そうだなァ?」
「!」
「ま、そりゃそうか。造りがちげぇしな。」
瑠奈の嵐のような攻撃の隙間をぬい、ディアは蹴りを繰り出した。
瑠奈は防御しようと両手をクロスさせたが食らった衝撃で吹っ飛ばされた。
ダガァ・・・ン
校舎に瑠奈の細い体は激突した。
「か、は・・・」
ズルズルと瑠奈の体は崩れ落ちる。
「「瑠奈!!」」
「お前、元に戻りたくないのかァ?どうして戻らない?」
「・・・」
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