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キーンコーン・・・
本鈴が響き渡る。
鳴り終わる直前に三人は2ーEの教室に飛び込んだ。
「よっしゃギリギリ!」
「先生はまだだねぇ~」
二人は入り口にへたり込んだ。
律は入り口に一番近い席なのですぐに席につく。
「律、一限なに?」
「・・・古典。」
「!!じ、じゃあ・・・」
と、その時。
「おンやぁ~??朝いなかったヤツがいるねぇ・・・?」
と地を這うような声が陣と瑠奈の背後から聞こえてきた。
二人はゆっくり振り返る。
「り、リンちゃん・・・」
黒の長髪を後頭部で一つに結び眉間にシワを寄せ黒い瞳で二人を睨みつける古典の教師、乙部鈴(おとべすず)はそこにいた。
2ーEの担任でもある。
「一限が古典じゃなかったら帰りまでアタシに会えないとこだったな??」
ニッコリと仏様も顔負けな笑顔を浮かべる鈴。
陣と瑠奈には閻魔様に見えた。
「リンちゃん私達・・・」
「馬鹿共が!!今日で遅刻何回目だ!?成績に関わるんだって解らないくらい馬鹿なのか!?」
瑠奈が言い訳する前に鈴のカミナリが落ちた。
震える陣と瑠奈に他の生徒は声を出さず爆笑している。
鈴が次を発する前に傍観者だった律が口を挟む。
「・・・一応HRに間に合う時間に来たんです」
「・・・なに?じゃあ何で遅れた?」
「てっ、手紙っっ」
「げげげ下駄箱にっ!」
噛みまくる二人にまた爆笑するクラスメート。
鈴ははぁ、とため息をつくと
「チッ。じゃあ仕方ないな。席につけ、授業だ」
と教壇に向かった。
ぱっと笑顔になった二人に鈴は
「だが次はない。覚悟しろ」
とトドメをさした。
「「・・・ハイ」」
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