最後の夏

2/3
前へ
/3ページ
次へ
スパーーン!! ミットに心地よい音が響く。 「ストライク!バッターアウト!!!」 三振を告げる審判の声。 蝉の鳴き声。 ベンチからの声援。 スタンドのブラスバンド。 全てに後押しされるように、俺は打席に入った。 9回裏ツーアウトランナー一塁三塁。 2対0。 一発出ればサヨナラ、日本一の栄光を掴む。 ゆっくり深呼吸しピッチャーに目を移す。 頬に汗が伝う。 モーションに入りピッチャーが投げ込んで来た初球、内角低め。 何の迷いもなく、振り抜いた。 打球はセンター後方へグングン伸びる。 長いようで短い時間。 そして、センターが諦めた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加