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目の覚める様な青空。
煌めく太陽。
やかましいクソガ…ゲフンゲフン…元気な子供達。
耳を澄ますと……
『…おお、やった!アイス当たったよ!』
『えぇー…本当に?』
『何でぇ?』
『だって俺のもアタリだし…』
『ウソつくなよなぁ!』
『何でだよぉ?』
『…だって、俺のもアタリだし…ほら』
『!?マジかよ!3人とも当たったの!?』
『うっそ…お前もかよ!凄くね?』
『うぉぉぉ奇跡だー!!』
『もしかしてこのアイス、全部アタリなんじゃないの!?ギャハハハハ、超ラッキー!』
『アツシに自慢しに行ってやろーぜー』
『いいねー』
『賛成ー』
…チリンチリン……
嵐は去った。
おもむろに立ち上がり、
「マダム、いつものを……」
そう言いアイスに手を伸ばす。
……いや、これはさ、なんか喉渇いたな~って思っただけで、子供達が『全部アタリなんじゃないの』って言ってたのを真に受けた訳じゃないから。
…いや、ホントだから。
そう思いつつも、視線は棒へと吸い寄せられる。
…アタリの文字は無い。
『あぁ…裏か…』
そう思い、棒を裏返す。
そこにも、アタリの文字は無い。
…いや、別に…
…ホント、別にショックじゃないから。
子供達の言ってた事、真に受けたりしてないから。
「…ふぅ~…それにしても今日は暑い……マダム、もう1つ貰おうか」
…いや、もう1つ食べればアタリが出るかもなんて思ってないから。
…いやホントだから。
またしても、視線は棒へと吸い寄せられていく…
『…無い』
『あぁ…今度も裏か…』
またも棒を裏返す…
やはり、そこにも文字は無い。
……いや、ホント、もしかしたらアタリ出るなんて思って無かったから…
大体、3本も連続でアタリが出る時点で奇跡みたいなもんなのに、その後にもう1本アタリなんて…ね…
「マダム、もう1本」
…やはり、その棒にも文字は無かった……
だが、確かにアタリはあった。
現にこうして、トイレに入っ…………
『……ジャーーー……』
「…ふぅ…厳しい戦いだった……」
顔は青ざめ、心なしかほおはこけていた。
そして私は、鏡に向かってこう呟く…
「…あ、リアルなガリガリ君がいる…」
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