緊急事態1

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「……今日のエスプレッソ(イチゴ牛乳)は、一段と薫り深い……」   …太陽が眩しい昼下がり…… こんな時には決まって『ヤツ』から仕事を押し付けられる。 そう… 長年の相棒とも呼べる、『ジョニー』だ。 この日も例外に無く、電話のベルが鳴り響く……   『…ジリリリリ……』   『…ガチャッ…』   「…私だ」 『……』   「?…ジョニーか?」 『……』   「そうか…声が違っていたので気になってな…」 『……』   「何!?怪我だと!?ミッション中にか!?」 『……』   「…フッ……その後始末の為に連絡してきたのだな?」 『……』   「うむ、承知した、そやつを抹殺すればいいのだな?」 『……』   「何!?では、どうしろというのだ?」 『……』   「…なるほど…取り引き現場に現れたターゲットに、直接現金(実弾)をくれて《殺ル》という事だな…」 『……』   「な…何だと!?余程、用心深い奴なのだな…」 『……』   「う…うむ、了解した、振り込み先は、いつものスイス銀行でいいな?」 『……』   「ハッハッハッ、どうしたジョニー?そんなに興奮して?戦闘を前にアドレナリンでも出ているのか?」 『……』   「フフッ……ジョニーと共にミッションを遂行するなんて、一体何時ぶりだろうなぁ……」 『……』   「…ん?あぁ、すまんすまん、ではいつも通りスイス銀行経由という事で……」 『……』   『…プッ…プー、プー、プー…』     一通り会話を交わすと、私は静かに受話器を置いた。   額から汗が流れ、 「…フフッ…」   思わず苦笑いがこぼれる……         …どうやら間違い電話のようだ。
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