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セリアは溜め息をついた。頭に手をやると呆れた様に空を見上げる。
「兄妹揃って何をやっているのかしら……」
セリアは急に微笑む。そういえばこの兄妹は自分によく楯突くなぁ、と思ったのだ。
「レイカ、ありがとう。私を心配してくれるのは嬉しいわ。でも、まだ私の背中は預けられないわよ」
セリアはギュッとレイカを抱きしめた。レイカの手から剣が滑り落ちる。微かに嗚咽が聞こえて来た。
「…愚兄をよろしくお願いします。」
レイカがゆっくりとセリアに道を開けた。セリアはありがとう、と言うと小さく開かれた城門を抜けようとしたが急にミシェルから呼び止められる。
「歩いて行くのか?」
「いいえ、馬で行くわ。」
「そうか……。どうせなら娘に運ばせよう。」
一同はミシェルの発言に首を傾げる。暫くしてミシェルは娘であるアリスを抱っこして来た。アリスは人形を片手に持っている。
「アリス、セリアのことは好きか?」
「……うん」
アリスは頷いた。ミシェルは微笑みながらアリスを撫でる。
「あの姿になってセリアをあっちまで運んでほしい。」
ミシェルの指さす方向をアリスは見た。そして、フルフルと首を振りミシェルの服を掴む。ミシェル以外は何を言っているのかわからなかった。
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