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セリア達は歩いて帰っていた。迎えが来るのはもう少しかかるだろう。
「父さん、どうしたらそんなに強くなれるの?」
「……殺せなかったのが悔しいのか? いや、違うな。セリア、ケイのことを本当はどう思っている?」
「私は……」
ロサリアは立ち止まるとセリアの顔をジッと見た。セリアはハァ、と溜め息をつく。
「ケイのことは好きだった、かしら? 今は大切な友達ね。本当は殺すことなんてないと思うけどギルドにいるなら仕方ないわ」
「そうか……。」
ロサリアは頷くとトントンとセリアの肩を叩く。今のロサリアは覇王ではなく父親としてセリアに接していた。
「セリア、お前にはすまないと思っている。大切な娘を戦いに参加させるなんて父親失格だな。本当にすまなかった。」
「と、父さん?」
「俺はずっとモヤモヤしていたんだ。お前が死ぬ夢を見ると眠れなくなるぐらいだ」
ロサリアはにっこりと笑い、セリアの頭を撫でた。セリアは大人しく撫でられていた。
「これで悔いはない。俺の命は多分、戦場で散るだろう。でも、お前には幸せに暮らして生きてほしいな。」
「父さん…」
遺言だったかも知れない。でも、セリアはただ頷くだけだった。
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