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形がない盾。それが魔王の霧の正体である。徐々にであるが霧が晴れてきていた。
辺りは魔王とセリアの魔法によって視界が悪くなっている。セリアはこの隙に刀を持って魔王に近づく
(修業する前は使うだけで自分自身にダメージを負う覇王の技も今では……)
セリアは剣術を繰り出す為の準備を始める。ただ、刀を鞘にいれるだけだが……
「刀技(とうぎ)覇王流━━」
「させんぞ!!!」
突然魔王の声が響き渡る。セリアの目の前には闇属性の魔法が迫っていた。セリアは居合の技で魔法を斬ると直ぐに距離を取る。
「ちょっと!!! 攻撃しないって言ったじゃない!?」
「うむ、確かに言った。だが、あのままじゃ負けたと思う。……我は負けず嫌いだからな」
魔王は平然と言う。しかしセリアは反論しなかった。むしろ、嬉しかったのだ。
「クロア、それは私を攻撃に値する人間だと認識したと解釈していいかしら?」
「うむ、セリアの言う通りだ。」
クロアは未だ自分に向かって来るセリアの魔法を盾と言う名の霧で防いでいたがそれも限界みたいだ。
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