修業

20/25
前へ
/465ページ
次へ
お互いジリジリと近づく。そして、セリアと魔王が同時に踏み出した。模擬戦の域を越えているようにも見える。 セリアは刀を振り下ろすが魔王は剣を右に薙払う。二人は一歩も譲らない。 二人は一旦距離を取ると再び、己の武器を振るう。 しかし、二人の攻撃は合わさることがなかった。二人の攻撃は割って入った紅のローブを着た人物に止められた。 セリアと魔王は気まずそうにその人物を見る。 「4年ぶりだな。何をしているのかと思えば仲たがいか?」 紅のローブを着た者は魔王を蹴り飛ばし、セリアを一瞬で自分の元へ引き寄せる。 「あぁ、セリア。会いたかったぞ」 「お姉ちゃん?」 紅のローブを着た者は新ルベンス帝国総裁、セリアの姉であるミシェルだった。 4年ぶりの再会に姉のミシェルは嬉しそうにセリアを抱きしめている。セリアも満更でもなさそうだ。 「あ、姉上? どのような御用件で…」 魔王が恐る恐る尋ねる。ミシェルが来る、ということはルベンス帝国の危機を表していた。
/465ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3693人が本棚に入れています
本棚に追加