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魔王は蚊帳の外だったがセリアは構わずミシェルに詰め寄る。
「ありえないわ!!! お姉ちゃん、どんなトリックを使ったの?」
ミシェルはそんな妹の姿に渋々と答える。
「奴隷だった私が父さんに拾われたのは知っているだろ?」
「ええ…」
「奴隷の前はルーシア・ノザリー。つまり、ノーザ国国王の娘だったらしい。記憶はないんだが…」
ミシェルは苦笑しながら頬を掻いた。セリアは同盟の理由がやっとわかった気がした。答えはミシェルが血族だったから…
「軟禁されていたのはレートリア。私の妹でセリアと同じ歳だ」
「なるほど……。ハァ、これでお姉ちゃんもお別れね…」
セリアは溜め息をついた。目には涙が溢れてくる。自分が生まれた時から一緒に居てくれた姉。血はつながってなくても本当の家族みたいだった。
ミシェルに帰るべき家が見つかったのだが喜ばないといけない筈が涙が邪魔をしてくる。
「セリア、落ち着け。私はノーザ国との縁を切ってきたんだ。私の戸籍は既にルベンス帝国にあるからな」
「えっ?」
「ノーザ国にはルーシアという人物は存在しない。これからもずっと姉であり続けようと思う。」
だから、ノーザ国には悪いが戻る気はない、とミシェルは言った。セリアは思わずギュッと姉を抱きしめる。
「セリア。明日、お前の結婚式をしよう」
「何を唐突に…」
「戦いでは何が起こるか分からないからな。嫌ならしなくてもいいんだぞ?」
ミシェルの問いに再び考え込むセリアだった。
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