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セリアは軍勢を率いて国境沿いへと向かう。全員が馬に乗っている。セリアの横には近衛隊長のレイカに軍事司令官である父親、それとかつて精霊王とよばれた叔母が共に走っていた。
軍勢は砂塵を巻き上げて道を急いだ。
「あれだな」
ロサリアがポツリと呟く。国境まで来るのに半日掛かっていた。両軍、抗争が続いておりあともう少しすればルベンス帝国の軍勢が不利になる所にセリア達が駆けつける。
その中でセリアは一人馬を走らせた。一番信頼している姉に
(馬鹿姉は何処に?)
セリアは一人戦場を馬で駆け抜ける。後ろには近衛兵隊長のレイカが近衛兵を連れてセリアの後を追っていた。
セリアが戦場を探しているとドラゴンの叫び声が聞こえた。セリアは声がした方へ馬を走らせる。
やっとの思いで着いた時には、側にドラゴンが立ち未だ結婚式の時に着ていた儀式様の白いローブを真っ赤に染めたミシェルがいた。
「お姉ちゃん!」
「ん? セリアか…。」
セリアは馬から飛び降りるとミシェルに近づく、そして右手を振りあげる。
そしてパチンという音が小さく響いた。ミシェルは抵抗もせずにただ叩かれた。
「お姉ちゃん…。どうして…どうして、一人で行くのよ」
セリアが姉を睨みつける。目には涙が溜まっていた。
「これも作戦だ。私が先に足止めすれば、被害が少なくなるからな。皇帝なら一兵士の命よりも民を守ることが大切だ」
ミシェルは頬を擦りながら拗ねた様に答えた。
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