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碁盤の目状に、きっちりと区画整備された巨大な都―“千灯京”[せんとうきょう]。
名門、奏[そう]家の屋敷は、この都の左京にあった。
名家の屋敷が建ち並ぶ中で、奏家の屋敷はひときわ――ぼろい。
そして今日も、その屋敷の片隅で少女が嘆いていた。
「…今月もひどい赤字だ」
家計簿代わりの帳簿を記し、瑠華[るか]は大きな溜め息をついた。
「ああ~、先月に借りたお米も、そろそろ返さなきゃなんないのにっ」
文机の上に、瑠華はがくりと項垂れる。
瑠華の父母は三年前に揃って病死し、瑠華[るか]は十五の頃から独りで、この奏[そう]家を守ってきた。
とはいえ、家人には金子を持たせて暇を出したから、自分を養うだけだったが。
それでも、無駄に格式ばかりが高い、名門の奏家。 名家に課された税は、両親が亡くなれども
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