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リビングに行くと、父は見知らぬ男性と談笑していた。
烏羽色の癖の強い堅そうな髪、赤墨色の人懐っこい瞳。
甘いマスク、という言葉はこの人のためにあるんじゃないかと思わせる風貌。
男にしては少し大きめの目に二重のまぶた、長いまつげが甘さをさらにプラスしている。
そして少し厚めの唇が近寄りがたくなりがちないい男を中和しているように思えた。
ナッツさんとはまた違ういい男に、鼻血が出そうだった。
普段、男慣れしてない上にこんないい男を間近で見ることができて、正直、なんだかお腹がいっぱいな気分。
「チョコ、ようやく来たか」
父はにこにことあたしを見ている。
「ここに座って」
そう指示したのは、見知らぬ男性の隣の席。
おとうさま?
戸惑った顔で固まっていると、ナッツさんがあたしをひょい、と抱えて……。
「うわああああ! やめてえええええ!!」
つい何時間か前に渡辺さんがされていたのと同じお姫さま抱っこであたしはソファまで連れて行かれ、見知らぬ男の人のあろうことか膝の上にあたしを置いた。
ちょっとどういう嫌がらせですか、これはっ!?
「那津、うれしいけどこれは少し積極的すぎないかなぁ」
ナッツさんのした行為に赤墨色の瞳に困った色を乗せてあたしとナッツさんを見ている。
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