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「雅史さんが結婚するとき、父が冗談で『女の子だったら嫁にもらう』と言っていたらしいんだ」
あの父のことだ、それを本気にしていたな。
「チョコが十六になった時に雅史さんから父に打診したらしい。『娘も無事に十六になった。あの約束はどうする?』とね」
一年以上前の話なのね。
そんな話、本当にさっぱり知りません。
「父にこの話をされた時、おれは正直、驚いたよ」
そうでしょうね。
あたしも驚きで言葉もでませんもの、いまだに。
「一年前はまだおれ、学生だったから……この話はそのまま保留になっていた」
……学生?
今、さらりと重要なことをおっしゃいました?
「え。圭季さん……おいくつなんですか?」
「三月に大学を卒業したばかりの二十二歳だよ」
二十二歳!?
あたしの五つ上?
「四月から働き始めたし、チョコも来年三月には高校を卒業するから、とりあえず一年間一緒に暮らして、今後どうするか決めよう、と父と雅史さんが勝手に決めたらしい」
なんですってー!?
お父さま、あたしの将来を勝手に決めないでくださいっ!
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