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「ワタシたち、立花先生のファンクラブ会員なの! 会長のワタシの断りなく、どうしてあなたがしゃしゃり出てそんな補佐役だなんて……!」
ファ、ファンクラブぅ!?
あまりにも意外な単語に驚いてかばんを取り落としそうになった。
みなさん、どういう視力をしていらっしゃるのですか?
あんなだっさいセンセ、どこがいいのっ!?
眼科に行って視力検査をしてもらうことを強くすすめるわ。
「あの、そんなに補佐役したいのなら」
どうぞ、と口を開こうとした時、後ろからだれかがやってきたらしく、自称立花先生ファンクラブ会員さまたちが黄色い声をあげた。
「か、楓さまっ!」
一番最初に口を開いてきたツインテールの彼女は黄色い悲鳴にも似た声であたしの後ろに立っている人の名前をつぶやいた。
楓……?
つい最近、どこかで聞いた名前だなあ、と思ってゆっくりと後ろを振り返った。
そこには、うちの制服を着た紅黒色のつやのあるさらさらと流れるような髪に鉄黒色の美しい瞳の端正な顔立ちの男性が立っていた。
あれ?
この顔……どこかで見たことが?
必死になって思い出そうと目線を上にあげ、悩んだ。
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