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「楓那津(かえで なつ)、高校一年生。昨日の入学式で生徒代表で挨拶したのに」
ちょっと待って!
ナッツさんって……あたしより年上だと思っていたのにっ!
同じ学校で、しかも年下だったなんて……。
「那津って呼んでね」
ナッツさん改め、那津はあたしに向かって憎らしいくらいのとろけるような表情でウインクをしてきた。
「きゃー」
とファンクラブ会員さまたちの黄色い悲鳴が聞こえてきた。
「なんでよりによって立花先生ばかりでなく、学園のアイドル楓さままでっ!」
リーダーが悔しそうにあたしを睨みつける。
「こらこら、朝からこんなところでなにをしているんだ?」
背後から朝一番で会いたくない人物の声が聞こえ、げんなりと肩を落とした。
もう。
なんなの朝からっ!?
「た、立花先生っ!」
那津と反対側に立花センセは立った。
あたしは那津と立花センセに挟まれる形になってしまっていた。
那津と立花センセは背が高いから、なんとなくあたしは囚われの宇宙人みたいになってしまっていた。
「ほら、チャイムが鳴るぞ。早く教室へ行け」
立花センセが解散するように伝えると、ファンクラブ会員さまたちは蜘蛛の子を散らしたかのようにばーっと校門に吸い込まれていった。
「うわっ! あたし、日直っ!」
あせって校門へと駆けて行った。
【つづく】
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